2009年05月15日

厭魅の如き憑くもの  三津田信三

三津田さんの刀城言耶シリーズ第一弾『厭魅の如き憑くもの』です。文庫になるのを待ってましたよ。

さて、事件が起こるのは蛇骨山脈の奥、九供山と哥々山という二つの山に挟まれた神々櫛村。古くからの大地主で村民からは「白い家」とも呼ばれる神櫛家。そしてその神櫛家と勢力を二分し「黒い家」とも呼ばれる憑き物筋の谺呀治家。この二つの旧家の微妙な均衡関係を崩そうとしたものが現れたとき、カカシ様の祟りが村に降りかかるのです。
過去、村で繰り返し起きた神隠しに、神櫛家の少女に取り付いた巫女の生霊。人々が恐れ敬う二つの御山。おどろおどろしさ満載でもうたまりません。これまで読んだ二作品と比べると前半の冗長さが気にもなったけど、ひたりひたりと背後より忍び寄る何ものかの気配にはこちらも背筋がぞくぞくしました。
ミステリーとしてのインパクトは薄かったけど、この雰囲気を味わえるだけで満足です。前に読んだ本で誤植らしきものが多々あって、おかげで今回おかしいなと引っかかったところも、誤植かなと流してしまったんですよね。最後の種明かしではやっぱそうだったのかよと臍を噛みました。


続きを読む
posted by たまねぎ at 23:00| Comment(1) | TrackBack(0) | ま行の作家さん | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年04月30日

レッドマスカラの秋  永井するみ

続けてミステリーYA!よりもう1冊。『カカオ80%の夏』の続編『レッドマスカラの秋』です。

前回の事件で知り合ったモデルのミリが出演するファッションショー「東京ガールズフェスティバル」へとやってきた凪と雪絵。いつも以上に素敵なミリの姿に興奮した二人は、その感動を伝えようとショー終了後の楽屋にミリを訪ねた。しかし当のミリは浮かない表情で、心配する二人にまでイライラをぶちまけ、あろうことか追い返してしまう。
その様子を伺っていて二人に声をかけてきたモデルの男の子によると、なんとミリ愛用のマスカラ「火の鳥」を彼女から貰ったモデルが、目の周りを腫らしてしまいショーに出られなかったというのだ。しかもそのモデルとは将来有望な注目株で、周囲からはミリのライバルと目されていたイリヤだった。


やっぱりこのシリーズは面白いですね。クールな女子高生探偵 凪と、その仲間たちの掛け合いが楽しい。マスターへの淡い恋心は見かけによらず奥手でかわいらしいし、恋に生きる母親とのギャップも笑えます。凪の友達、ジェイクはますます謎だ。
今回は事件の背景がかなり大事になっていて、いくらなんでもあっさりと真相に辿り着きすぎ&事後処理も簡単すぎないかと、ツッコミを入れたくなったけど、これはこれでアリかな。読み物としての楽しさの方が勝っているし。

posted by たまねぎ at 23:00| Comment(0) | TrackBack(0) | な行の作家さん | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年04月29日

倒立する塔の殺人  皆川博子

やはりミステリーYA!は侮れない。戦時中のミッションスクール。少女達の間で回し書きされた一冊のノート。それが最初に見つかったのは図書館の棚だった。孔雀模様のマーブル紙を使った表紙。中に記されていたのは蔓薔薇模様の飾りで囲まれた『倒立する塔の殺人』というタイトルのみ。
やがて空白のページは戦争により虐げられた少女達の悲しみや怒りの悲鳴を滲ませながら、一つの物語を刻んでいく。そしてその物語が終わるとき、ある少女の死に纏わる驚きの真相が明らかになるのだった。


デカダンな雰囲気に酔い、著者が実際に体験したのであろう戦禍の描写から、戦争に対する憤りと虚しさを覚えました。皆川さんは1929年の生まれということで、この作品に登場する少女達の姿というのは、そのまま皆川さんの少女時代になるんですよね。それだけに彼女たちの戦争に対する思いってのがとてもよく伝わってきます。
そしてこの作品を彩る数々の絵画作品や楽曲、文学作品には思わず溜息がこぼれました。巻末には一部の絵画が紹介されていて、うれしい限りじゃありませんか。正直、YAってだけで手に取られないようなことがあったら、もったいなさ過ぎる一冊です。


posted by たまねぎ at 23:00| Comment(0) | TrackBack(0) | ま行の作家さん | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

広告


この広告は60日以上更新がないブログに表示がされております。

以下のいずれかの方法で非表示にすることが可能です。

・記事の投稿、編集をおこなう
・マイブログの【設定】 > 【広告設定】 より、「60日間更新が無い場合」 の 「広告を表示しない」にチェックを入れて保存する。