デビュー作『肝心の子供』とは真逆の、本当に短いともすれば何でもないような瞬間を描いた作品なのですが、脈絡もなく語られる短いエピソードの数々や、その中で人類が連ねて来た時間の壮大さと人間一人の存在の小ささの対比を匂わせるなど、実は同じ事を書いている作品であります。
序盤には
(前略)遠くの森のいちばん上に、ちょこっと一本だけ細い木の枝が突き出ているのが見えるでしょう?あの枝が好きなんだ。黒い森から突き出した、あのてっぺんというのはどんな場所なのだろう、あそこから逆にこちらを見下ろしたらどういう風に見えるのかしら?(P7)と『肝心の子供』でのラストを彷彿とさせる記述もあり、この2作は双子の兄妹のようだと思いました。
人と人とが出会い、やがて一緒になるのだから、それなりのドラマがあってしかるべきってのも一つの考え方なんだろうけど、この作品はそれとは逆で、日常の何でもない瞬間に見えた風景や浮かんだ感情にこそ、実は何か決定的な真実が潜んでいるんじゃないかって事なんだろうと思います。
これはこれで結構好きな作品なんだけど、いかんせ『肝心の子供』の後にこれを読まされてしまうと、ちょっと技巧に走りすぎてるというか、すごい精巧な細工をした美術品の小箱を眺めているような気分になってしまいました。それを眺めるだけでも有意義ではあるんだけど、中には何も納められておらず、果たして箱としてのこの箱の価値はどこに行ってしまったんだろうかと疑問を覚えてしまうような。
芥川賞の選評だと山田詠美の言葉がとても的を射てて、その言葉を借りるなら
「時々、ものすごく、美しい」本です。そう、時々。

みなさん今晩は。昨日、寝る前に布団に水をこぼしてしまったたまねぎです。しかも翌日、台風は逸れたし陽も出て来たからと外に干したら、直後にまた雨が降ってきやんの。乾きかけた布団が再びビショビショ
何が悔しいって、こりゃもう駄目じゃと部屋の中に物干し竿を渡し、扇風機をタイマーセットして出掛ければですよ、それ以降はすっかりピーカンでやんの。
しかしです、捨てる神あれば拾う神ありです。ユニクロに行けば欲しかった色のベストだけ売切れ、本屋に行けばいつの間にか芸術新潮がこれまた売切れで書い逃し、失意のまま帰宅するとポストにやけに厚い郵便物が……。Yonda?のエコバックがもう届いたのかと思いきや、封筒の下には講談社の文字。空けてみれば本が一冊?
な、なんと講談社BOOK倶楽部の懸賞に当たって、新刊本をいただきました
これは講談社のメルマガに登録すると毎月送られてくる、新刊案内についているプレゼント企画で、アンケートに答えれば抽選で紹介した新刊見本を各一名にってものなんです。
去年あたりから時たま応募してたんだけど、これまで一度も当たった事がなかったし、すっかり忘れていました。千円以上の物が当たるなんて、生まれてこのかた始めてですよ。ありがとー講談社。菱沼さんやったよ、やりましたよ。
しかし皆さん、出版社のメルマガってのはこれがはなかなか馬鹿に出来ないんですよ。中にはネット限定のサイン本販売のお知らせとかもあったり。
その辺りのオススメだと講談社と東京創元社でしょうか。創元社は先日、桜庭さんのサイン本のお知らせが。即予定数終了だったみたいだけど。
読物として面白いのは早川書房。海外ノンフィクションの紹介が毎回漫才の掛け合いみたいで笑えます。
てなわけで、皆さん是非とも講談社メルマガに登録を。以上、今日だけ講談社の回し者のたまねぎでした。
あれ、よく考えたら、登録者が増えたら、倍率も上がっちゃうんじゃ……。おまけに今日の本は河出じゃないか
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