2009年04月18日

警官の紋章  佐々木譲

洞爺湖サミットまであと三ヵ月。警備計画が本格的に始動した北海道警内では、サミット特別シフトが敷かれ、各署内の空気も殺気立っていた。
一週間後には警備結団式も控えている。サミット特命大臣をはじめ、警視総監、警察庁長官、国家公安委員長といったお歴々が式には出席する。まさにサミット警備のための試金石とも言えた。

ところが、そんな状況下で勤務中の巡査が行方不明になってしまう。上層部はあわてふためいた。巡査は拳銃を携帯していた。
しかも同じく警官であった巡査の父は、あの「郡司事件」の公判で証人として召喚される予定だったが、公判前日に謎の自殺を遂げていたのだ。

津村さんの次は佐々木譲さんで二連発。まずはDCAシリーズ最終作『警官の紋章』です。
佐伯、小島、津久井が三度の活躍を見せる今作ですが、個々が己の領分においてその実力を遺憾無く発揮し、結果として全体の利益に繋がるという、真のチームワークの姿を見せられました。
失踪した巡査を追う津久井。大臣警護の応援をする事となった小島。そして『笑う警官』の時に他部署からの横槍で消化不良に終わった事件を、俺の事件であると再び調べる佐伯。
チームとして一つの事に当たるのではなく、それぞれが自分の役割を果たすべく行動します。しかし決してバラバラではない。なぜならば各々が警官としての矜持を、警官の紋章を胸に持っているから。
桜の代紋。ある種の権力の象徴として使われてきた言葉ですが、その威光の強すぎるあまり、腐敗へと繋がってしまった。強い光が頭上から照らせば陰も濃くなります。
しかし、それぞれが警官の紋章を胸に秘めていれば。内側から照らす光りで浮かび上がるのは、外の陰となる。シリーズを通して投げ掛けられた問いの答えを、このタイトルに見たように思います。

そしてバラバラだった線が結団式の日に一つに交差する瞬間の盛り上がりはもちろん、シリーズを通じて張られた伏線の収束にも驚きが。そこに繋がっていたかと。
ラストの意外な人物の活躍も良かった。彼もまた警官だったと。野暮な野郎だけど(笑)。


posted by たまねぎ at 23:00| Comment(0) | TrackBack(0) | ┣佐々木 譲 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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