昨年からかなり話題になっていた本ですが、これが本当に面白い。作中で高田文夫が「お前等売れたら談志師匠のエピソードで本出せるぞ。(中略)談志師匠っていう最高の根多」があるんだからよ」と言っているように、立川談志という人の存在感が際だっているのもさることながら、さすが落語家だけあって語り口が絶妙です。
とんとんとんと軽妙で、しかし調子に乗って上擦りする事は決してない。自分自身を俯瞰で眺める距離が近くもなければ遠くもない。それこそ噺に出てくる登場人物を語るかの様。
落語を聞き始めてかれこれ1年ほどになるのですが、談春さんはまだ聞いたことがないんですよね。これを読んだら無性に聞きたくなりました。特に俺より上手いと師匠が認めた『包丁』をまず聞いてみたい。
ちなみに談志さんの落語はDVDで何回か観ました。『文七元結』と『堀の内』とあとなんだったかな、『粗忽長屋』だっけか。
最初に落語家を志した時に志ん朝と談志のどちらかだと思ったとあって、両者の落語の差について軽く触れているのですが、確かに談志の落語って聞く時に力が入るんですよね。
志ん朝さんもいくつか聞いたけど、志ん朝さんが滑らかで愉快で自然と耳が離れなくなるのに対し、談志さんの場合はいつ何が飛び出すかわからないような緊迫感があって、一語一句を逃せない。
CDとDVDの違いってのがあるのかもしれないけど、談志さんの時には思わず正座をして身構えてしまったくらいです。
談志という人は歯に衣着せぬ物言いでハチャメチャなイメージが強いんだけど、この本を読んでいると実は意外と真っ当な人で、ものすごい照れ屋なんじゃないかって印象をうけました。
談志を心から慕う弟子の目から見ているからかもしれません。最後に弟弟子達に対して、談志はいつまでもいるわけじゃないと苦言を呈してもいるけれど、できるだけ長く憎まれ口を叩き続けてほしいものです。こんな世の中なだけに。
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