というわけで中島京子さん『平成大家族』です。なるほど。高度成長期を経て核家族化が進んだ日本。しかし昨今の社会情況が皮肉にも再び大家族を作り出すというわけですか。これは面白い着想ですね。言われてみれば、そういう事もあるのか。大人サザエさんみたいだ。
しかし、ポーカーに例えるならファイブカード、麻雀ならまるでメンタンピン三色ドラドラとでも言うような緋田家のこの揃いっぷり。かなり辛辣でどぎつい展開になるのかなあと思ったんですけど、これがまったくの逆で元気の出るようなお話でした。
中島さんは何年か前から気にはなっていて、今回ようやく初読みとなったのですが、もしかしたらとても優しい人なのかもしれないと思いました。龍太郎の困惑から始る物語は、緋田家の面々の視点を順繰りに移っていくのですが、それぞれがどこか愛らしく憎めない存在になっています。
まあ、まるで図ったかのように重なった一家の窮状はまだありそうだけど、そこから立ち直っていく様はちょっと出来過ぎかなあって気がしないでもありませんが。就農はまだしも、長男 克郎の話は「ない、ない」と苦笑しながら読んでしまいました。とはいえ、それもまた大家族ものの醍醐味でしょうか。
同じく大家族をテーマにした小路幸也さんの《バンドワゴンシリーズ》が、毎回家族の食卓から始まるのに対し、この作品は最後の最後、家族がまたそれぞれの道を見つけようやく顔を合わせるのですが、この辺は現代の家族像を象徴してると思いました。
【な行の作家さんの最新記事】


