今作の舞台は戦前から戦後にかけての日本になります。貧しさ故、温泉地の歓楽街へと売られた姉妹、父の事業の失敗により老いた富豪の妾とさせられた少女、東北の田舎町から福岡へと奉公に出された女性など、時代の影響からままならぬ想いを抱え生きていく事を余儀なくされた女達の半生が書かれていて、かなり『花宵道中』に近い作品に思います。そして舞台が広がった事で物語もまた広がりを見せ、上手さに磨きがかかっていると感じました。
『天人菊』『凌霄葛』『乙女椿』『雪割草』各話のタイトルに選ばれた花の花言葉と、女性達の境遇の準え方も、手法としては定番だけどそれだけにお見事。『乙女椿』を中心に繋げられた作品毎のリンクもまた上手い。多くの無念、咲ききれなかった想いが地へと還り、その上に今という時代がある。数十年振りの再会を果たそうとするラストシーンは胸にくるものがありました。
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