2009年04月28日

白蝶花  宮木あや子

Rー18文学賞受賞のデビュー作『花宵道中』では、艶めいた文章で吉原という苦界に生きる女達の姿を描き、情感をよぶ見事な作品を作り上げた宮木さん。再びこの人の作品は読んでみたいと思っていたのですが、読者大賞にこの作品がノミネートされ、いい機会だと手に取る事に。
今作の舞台は戦前から戦後にかけての日本になります。貧しさ故、温泉地の歓楽街へと売られた姉妹、父の事業の失敗により老いた富豪の妾とさせられた少女、東北の田舎町から福岡へと奉公に出された女性など、時代の影響からままならぬ想いを抱え生きていく事を余儀なくされた女達の半生が書かれていて、かなり『花宵道中』に近い作品に思います。そして舞台が広がった事で物語もまた広がりを見せ、上手さに磨きがかかっていると感じました。
『天人菊』『凌霄葛』『乙女椿』『雪割草』各話のタイトルに選ばれた花の花言葉と、女性達の境遇の準え方も、手法としては定番だけどそれだけにお見事。『乙女椿』を中心に繋げられた作品毎のリンクもまた上手い。多くの無念、咲ききれなかった想いが地へと還り、その上に今という時代がある。数十年振りの再会を果たそうとするラストシーンは胸にくるものがありました。


posted by たまねぎ at 23:00| Comment(0) | TrackBack(0) | ま行の作家さん | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:


この記事へのトラックバック