2009年04月29日

倒立する塔の殺人  皆川博子

やはりミステリーYA!は侮れない。戦時中のミッションスクール。少女達の間で回し書きされた一冊のノート。それが最初に見つかったのは図書館の棚だった。孔雀模様のマーブル紙を使った表紙。中に記されていたのは蔓薔薇模様の飾りで囲まれた『倒立する塔の殺人』というタイトルのみ。
やがて空白のページは戦争により虐げられた少女達の悲しみや怒りの悲鳴を滲ませながら、一つの物語を刻んでいく。そしてその物語が終わるとき、ある少女の死に纏わる驚きの真相が明らかになるのだった。


デカダンな雰囲気に酔い、著者が実際に体験したのであろう戦禍の描写から、戦争に対する憤りと虚しさを覚えました。皆川さんは1929年の生まれということで、この作品に登場する少女達の姿というのは、そのまま皆川さんの少女時代になるんですよね。それだけに彼女たちの戦争に対する思いってのがとてもよく伝わってきます。
そしてこの作品を彩る数々の絵画作品や楽曲、文学作品には思わず溜息がこぼれました。巻末には一部の絵画が紹介されていて、うれしい限りじゃありませんか。正直、YAってだけで手に取られないようなことがあったら、もったいなさ過ぎる一冊です。


posted by たまねぎ at 23:00| Comment(0) | TrackBack(0) | ま行の作家さん | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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