そんなある日、一人の女性が滋子のもとを訪ねてきました。知り合いの編集者の紹介でやってきた婦人は、事故で亡くなってしまった息子が見せたという、不思議な力について滋子に語りました。
未来が見えたという話を初めは信じられず、訝しがった滋子でした。しかし、ただ息子の事をもっと知りたい、まだまだ考えていたいのだという婦人の想いを受け、調査を開始するのでした。
『模倣犯』を読んだ直後だったからかもしれませんが、とてもすっきり読みやすかったです。視点があくまで前畑滋子一人のものからだったのも大きいと思います。間に入ってくる少女のパートにこそ鍵がと必死で頭を巡らせて、思い切り著者のミスリードに引っ掛かっちゃったけど。
今作を通じて滋子は過去の事件や過去の自分と幾度となく対面させられる事となるのですが、人はやはり己以外の何者にもなることは出来ず、己というものを一生背負っていかなければならないのだと思いました。
それと強く印象に残った場面が一つ。それは、あくまで婦人のための個人的な仕事としていた滋子が、その過程で調査のテクニックとはいえあえて余計な事を言わなかったり、嘘も方便なやり方をしていった姿です。物書きの本能なのかもしれないけど、滋子が自分を取り戻していくのを象徴しているようにも感じました。


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