まあ、それは落語に限らず古典芸能全般に対して当て嵌まる事で、知れば絶対に面白そうだしはまるんだろうって予感はするけど、難しいというイメージを持って尻込みしてしまっています。『仏果を得ず』や『俳風三麗花』を読んで芽生えた興味の種はいまだに燻らせっぱなしだし。反省。
でも、この『オチケン!』はそういう場合の足掛かりには本当にピッタリだと思いました。学園ミステリーとしても楽しいし。サークル間の覇権争いみたいなのもあって、結構コテコテです。
それに「寿限無」が一時子供たちの間で大ブームとなった頃に、大まかな筋はどういうものかは私も知ったんだけど、その面白さまでは実は分かっていなかったんですね。でもこの本を読んだらきちんと分かったし、読み終わったらいつの間にか半分くらいはそらで言えるようになってました。
折角だから返却するまでに全部覚えるぞと現在奮闘中です。どうしてもシューリンガンとシェリンガム(イングランドの元サッカー選手)が混じって、シューリンガムって言っちゃうんですよね。むむむーっ。
さて、この作品の主人公は越智健一君19歳。この春一年間の浪人生活を経て、学同院大学に合格。静岡から上京してきたばかりの将来有望な青年です。
彼は落とした学生証を拾ってもらったという奇縁から出会った男に引きずられ、気が付けば廃部目前の落語研究会の一員とさせられてしまいます。
落語のことなんか何にも知らない越智君は、当然戸惑い辞めようかと思うのですが、優柔不断で押しの弱い性格が邪魔をしてなかなか言い出せずにいました。
すると、なぜか厄介事が次から次へと押し寄せて来て、彼は訳の分からぬままに巻き込まれてしまうのでした。
ああ越智君のキャンパスライフやいかに!?

続きは少しネタばれが。
落語ってあんまり馴染みがないと書いた私ですが、好んで見ていた番組が二つほどあります。ひとつは岸さんが大嫌いらしい某座布団一枚な番組と、もう一つは関西系の番組で、鶴瓶さんとざこば師匠がやっていた『落語のご』です。私が観られたのは年に数回かテレ朝の深夜でやっていた分だけなんですけどね。観客席から3つの御題を拝借して即興落語をしていたのが、面白いわ凄いわで大好きでした。もうやらないのかなあ、あれ。
ところで、今回本のなかで起きた事件の結果、落研の部室を狙っていた『お笑い研究会』と『釣竿会』はそれぞれ分裂もしくは壊滅となり、公認団体への道は閉ざされてしまいました。残った『折り紙の会』は『学同院投資研究会』の後に首尾よく収まりましたが、結果として落研に大きな借りを作ることとなっています。対して落研は学園を牛耳る『馬術部』に繋ぎが出来ただけでなく、師匠の入院問題まで解決しちゃってます。何だかこれって偶然にしては出来すぎているように見えるのは気のせいでしょうか。
もちろん実行犯は潰れたそれぞれの会の人間です。馬術部の事件については折り紙の会の会長が裏で糸を引いていたわけですが、どちらにしてもその手法があまりにもマニアックすぎると思うのですよ。特に馬術部のほうなんて落語に詳しければ簡単に見抜けるトリックと書いてはあったけど、その実中村先輩は上方落語は不得手でわからないと話しているわけです。決して直接的ではないにしろ、そういったトリックを思いつくようなヒントを与えた人間がいるんじゃないかって、私は思わずにはいられないのです。登場人物の中でそれが可能な唯一の人間と今回最も得をした人間が同じってのは、やっぱり怪しすぎですよ。
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