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<title>今更なんですがの本の話 seesaa版</title>
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<title>厭魅の如き憑くもの  三津田信三</title>
<description>三津田さんの刀城言耶シリーズ第一弾『厭魅の如き憑くもの』です。文庫になるのを待ってましたよ。さて、事件が起こるのは蛇骨山脈の奥、九供山と哥々山という二つの山に挟まれた神々櫛村。古くからの大地主で村民からは「白い家」とも呼ばれる神櫛家。そしてその神櫛家と勢力を二分し「黒い家」とも呼ばれる憑き物筋の谺呀治家。この二つの旧家の微妙な均衡関係を崩そうとしたものが現れたとき、カカシ様の祟りが村に降りかかるのです。過去、村で繰り返し起きた神隠しに、神櫛家の少女に取り付いた巫女の生霊。人々...</description>
<dc:subject>ま行の作家さん</dc:subject>
<dc:creator>たまねぎ</dc:creator>
<dc:date>2009-05-15T23:00:00+09:00</dc:date>
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三津田さんの刀城言耶シリーズ第一弾『厭魅の如き憑くもの』です。文庫になるのを待ってましたよ。<br /><br />さて、事件が起こるのは蛇骨山脈の奥、九供山と哥々山という二つの山に挟まれた神々櫛村。古くからの大地主で村民からは「白い家」とも呼ばれる神櫛家。そしてその神櫛家と勢力を二分し「黒い家」とも呼ばれる憑き物筋の谺呀治家。この二つの旧家の微妙な均衡関係を崩そうとしたものが現れたとき、カカシ様の祟りが村に降りかかるのです。<br />過去、村で繰り返し起きた神隠しに、神櫛家の少女に取り付いた巫女の生霊。人々が恐れ敬う二つの御山。おどろおどろしさ満載でもうたまりません。これまで読んだ二作品と比べると前半の冗長さが気にもなったけど、ひたりひたりと背後より忍び寄る何ものかの気配にはこちらも背筋がぞくぞくしました。<br />ミステリーとしてのインパクトは薄かったけど、この雰囲気を味わえるだけで満足です。前に読んだ本で誤植らしきものが多々あって、おかげで今回おかしいなと引っかかったところも、誤植かなと流してしまったんですよね。最後の種明かしではやっぱそうだったのかよと臍を噛みました。<br /><br /><br /><a name="more"></a>みなさん、こんばんは。お久しぶりでございます。四月馬鹿と五月病と忘れられたビックウェーブよろしく一気に来た予約の波とlivedoorの不具合と春風邪と黄金週間と五月晴れとで軽くブログ疲れの様な症状を引き起こししばらく旅に出ていたたまねぎです。恥ずかしながら帰ってまいりました。<br />長すぎてよく分からない？。せめて「別れましょうあなたから消えましょう私から」か、「愛のままにわがままに僕は君だけを傷つけない」ぐらいに纏めろ？。はい私もそう思います。<br /><br />というわけで今夜のテーマは「部屋とワイシャツと私」ならぬ、部屋とソファーとたまねぎです。実はとうとう私の所にも定額給付金がやってまいりました。正確には今はまだ銀行さんが握っていやがるのですが。さあこの一万二千円、いかに有意義に使ってやるべきか。皆さんはどうする予定ですか？。<br />私は最初は新しい眼鏡か、もしくは新車(自転車)購入の足しにしようかと考えていました。ところが、この絶好のタイミングを見計らったかのように、某通販系サイトからセールのメルマガがくるじゃありませんか。<br />以前一度シャツを買った際に登録して、以来利用する事もなくほったらかしにしていたのですが、ふとキマグレにリンクをクリックしてみたら、なかなかいいソファーがありやがるんですよ。<br /><br />単身向けのちょっと小さめなソファーで、半額送料込の約12500円。絶対狙ったとしか思えないこの金額。前々からシングルソファーが欲しいなあと、軽く思っていたんですよね。<br />まんまと乗せられて、もしこのソファーを置くならテーブルをあっちにずらして、後は布団をひくときの事も考えなきゃいかんよなと、サイズ概要を眺めながらソファーのある光景をイメージしてしまいました。<br />ネックなのは横幅130cmとシングルにしては少し大きい事。その分奥行きも取られます。やはりアームチェアーの方がスペースを取らないし、動かし易いかなあ。<br /><br />と、こんな具合に一万二千円の使い道を延々と考えながら今宵は過ごしております。さらには、やっぱり眼鏡もなあと、愛用のお店のホームページで、新作フレームを眺めていたりも。<br />やはりこういうのは使い道を考えている間がまた楽しいですね。おまけで本音を言っちゃえば、一万二千円って微妙に中途半端なんだよなあ。いっそのこと弐萬円くれりゃあ、一気に選択の幅も広がるのに。しかし、この一万二千円の二千円ってのは一体どこから出てきたんだろう。<br /><br />そういえば、どこかのファーストフードでは一万二千円で二万円相当の商品券を発売するとか。二万円分を自由に使えるんじゃなくて、二万円分の商品と引き換えってのがイヤらしい所ですよね。食いたくないもんも入ってくるってのはいくらなんでも。だいたいあそこはしょっちゅうクーポン出してるから、額面分の価値があるのかも実は微妙な気が。<br /><br />とりあえず私は、何を買おうか迷っている間に、細々とした出費で消えてしまわぬよう、なるべく早くパーッと使っちゃおうと思います。<br /><br /><br /><br />

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<title>レッドマスカラの秋  永井するみ</title>
<description>続けてミステリーＹＡ！よりもう１冊。『カカオ８０％の夏』の続編『レッドマスカラの秋』です。前回の事件で知り合ったモデルのミリが出演するファッションショー「東京ガールズフェスティバル」へとやってきた凪と雪絵。いつも以上に素敵なミリの姿に興奮した二人は、その感動を伝えようとショー終了後の楽屋にミリを訪ねた。しかし当のミリは浮かない表情で、心配する二人にまでイライラをぶちまけ、あろうことか追い返してしまう。その様子を伺っていて二人に声をかけてきたモデルの男の子によると、なんとミリ愛...</description>
<dc:subject>な行の作家さん</dc:subject>
<dc:creator>たまねぎ</dc:creator>
<dc:date>2009-04-30T23:00:00+09:00</dc:date>
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続けてミステリーＹＡ！よりもう１冊。『カカオ８０％の夏』の続編『レッドマスカラの秋』です。<br /><br />前回の事件で知り合ったモデルのミリが出演するファッションショー「東京ガールズフェスティバル」へとやってきた凪と雪絵。いつも以上に素敵なミリの姿に興奮した二人は、その感動を伝えようとショー終了後の楽屋にミリを訪ねた。しかし当のミリは浮かない表情で、心配する二人にまでイライラをぶちまけ、あろうことか追い返してしまう。<br />その様子を伺っていて二人に声をかけてきたモデルの男の子によると、なんとミリ愛用のマスカラ「火の鳥」を彼女から貰ったモデルが、目の周りを腫らしてしまいショーに出られなかったというのだ。しかもそのモデルとは将来有望な注目株で、周囲からはミリのライバルと目されていたイリヤだった。<br /><br /><br />やっぱりこのシリーズは面白いですね。クールな女子高生探偵 凪と、その仲間たちの掛け合いが楽しい。マスターへの淡い恋心は見かけによらず奥手でかわいらしいし、恋に生きる母親とのギャップも笑えます。凪の友達、ジェイクはますます謎だ。<br />今回は事件の背景がかなり大事になっていて、いくらなんでもあっさりと真相に辿り着きすぎ＆事後処理も簡単すぎないかと、ツッコミを入れたくなったけど、これはこれでアリかな。読み物としての楽しさの方が勝っているし。<br /><br /><a name="more"></a>

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<title>倒立する塔の殺人  皆川博子</title>
<description>やはりミステリーYA！は侮れない。戦時中のミッションスクール。少女達の間で回し書きされた一冊のノート。それが最初に見つかったのは図書館の棚だった。孔雀模様のマーブル紙を使った表紙。中に記されていたのは蔓薔薇模様の飾りで囲まれた『倒立する塔の殺人』というタイトルのみ。やがて空白のページは戦争により虐げられた少女達の悲しみや怒りの悲鳴を滲ませながら、一つの物語を刻んでいく。そしてその物語が終わるとき、ある少女の死に纏わる驚きの真相が明らかになるのだった。デカダンな雰囲気に酔い、著...</description>
<dc:subject>ま行の作家さん</dc:subject>
<dc:creator>たまねぎ</dc:creator>
<dc:date>2009-04-29T23:00:00+09:00</dc:date>
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やはりミステリーYA！は侮れない。戦時中のミッションスクール。少女達の間で回し書きされた一冊のノート。それが最初に見つかったのは図書館の棚だった。孔雀模様のマーブル紙を使った表紙。中に記されていたのは蔓薔薇模様の飾りで囲まれた『倒立する塔の殺人』というタイトルのみ。<br />やがて空白のページは戦争により虐げられた少女達の悲しみや怒りの悲鳴を滲ませながら、一つの物語を刻んでいく。そしてその物語が終わるとき、ある少女の死に纏わる驚きの真相が明らかになるのだった。<br /><br /><br />デカダンな雰囲気に酔い、著者が実際に体験したのであろう戦禍の描写から、戦争に対する憤りと虚しさを覚えました。皆川さんは1929年の生まれということで、この作品に登場する少女達の姿というのは、そのまま皆川さんの少女時代になるんですよね。それだけに彼女たちの戦争に対する思いってのがとてもよく伝わってきます。<br />そしてこの作品を彩る数々の絵画作品や楽曲、文学作品には思わず溜息がこぼれました。巻末には一部の絵画が紹介されていて、うれしい限りじゃありませんか。正直、ＹＡってだけで手に取られないようなことがあったら、もったいなさ過ぎる一冊です。<br /><br /><br /><a name="more"></a>

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<dc:date>2009-04-29T23:00:00+09:00</dc:date>
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<title>白蝶花  宮木あや子</title>
<description>Ｒｰ18文学賞受賞のデビュー作『花宵道中』では、艶めいた文章で吉原という苦界に生きる女達の姿を描き、情感をよぶ見事な作品を作り上げた宮木さん。再びこの人の作品は読んでみたいと思っていたのですが、読者大賞にこの作品がノミネートされ、いい機会だと手に取る事に。今作の舞台は戦前から戦後にかけての日本になります。貧しさ故、温泉地の歓楽街へと売られた姉妹、父の事業の失敗により老いた富豪の妾とさせられた少女、東北の田舎町から福岡へと奉公に出された女性など、時代の影響からままならぬ想いを抱...</description>
<dc:subject>ま行の作家さん</dc:subject>
<dc:creator>たまねぎ</dc:creator>
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Ｒｰ18文学賞受賞のデビュー作『花宵道中』では、艶めいた文章で吉原という苦界に生きる女達の姿を描き、情感をよぶ見事な作品を作り上げた宮木さん。再びこの人の作品は読んでみたいと思っていたのですが、読者大賞にこの作品がノミネートされ、いい機会だと手に取る事に。<br />今作の舞台は戦前から戦後にかけての日本になります。貧しさ故、温泉地の歓楽街へと売られた姉妹、父の事業の失敗により老いた富豪の妾とさせられた少女、東北の田舎町から福岡へと奉公に出された女性など、時代の影響からままならぬ想いを抱え生きていく事を余儀なくされた女達の半生が書かれていて、かなり『花宵道中』に近い作品に思います。そして舞台が広がった事で物語もまた広がりを見せ、上手さに磨きがかかっていると感じました。<br />『天人菊』『凌霄葛』『乙女椿』『雪割草』各話のタイトルに選ばれた花の花言葉と、女性達の境遇の準え方も、手法としては定番だけどそれだけにお見事。『乙女椿』を中心に繋げられた作品毎のリンクもまた上手い。多くの無念、咲ききれなかった想いが地へと還り、その上に今という時代がある。数十年振りの再会を果たそうとするラストシーンは胸にくるものがありました。<br /><br /><br /><a name="more"></a>

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<title>武士道セブンティーン  誉田哲也</title>
<description>『武士道シックスティーン』の続編、その名も『武士道セブンティーン』です。前回のラストから数ヵ月遡り、磯山と早苗の別れの場面からスタート!?。って思わず、そこからかよ！と叫んでしまいました。さあ、いよいよ全国の舞台で二人がと期待していたのに。でも、セブンティーンって事は17歳、高校二年生の一年間を描く話なんだから、当たり前なのか。恐らく、シックスティーンを書いた時点では続編なんて思ってもいなかったんだろうな。さて、父親の仕事の関係で福岡へと転校してしまった早苗。やがて彼女は全国...</description>
<dc:subject>は行の作家さん</dc:subject>
<dc:creator>たまねぎ</dc:creator>
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『武士道シックスティーン』の続編、その名も『武士道セブンティーン』です。前回のラストから数ヵ月遡り、磯山と早苗の別れの場面からスタート!?。って思わず、そこからかよ！と叫んでしまいました。さあ、いよいよ全国の舞台で二人がと期待していたのに。<br />でも、セブンティーンって事は17歳、高校二年生の一年間を描く話なんだから、当たり前なのか。恐らく、シックスティーンを書いた時点では続編なんて思ってもいなかったんだろうな。<br /><br />さて、父親の仕事の関係で福岡へと転校してしまった早苗。やがて彼女は全国でも有数の強豪福岡南でレギュラーの座を掴むわけですが、その道はやはり平坦なものではありませんでした。<br />剣道歴の浅い彼女は、東松のやり方しか知らなかったものですから、入部当初は練習の一つ一つから戸惑いの連続です。徐々に慣れていくと、今度は強豪校ならではの勝利至上主義に疑問を感じ、くじけそうにもなってしまいます。<br />そう、今度は逆に、早苗が己の剣の道を見失いそうになるのです。<br /><br />そして一方の磯山。かつて剣道は個人の戦いだと言い切っていた彼女も、今ではエースとしての自覚を持つようになり、キャプテンの河合とともにチームを引っ張っていました。<br />しかし昨年の三年に続き早苗までが抜け、東松の戦力は大幅にダウン。彼女の事をミョーに慕う田原を始めとした、六人の新入生が入ったものの即戦力とはなかなかいかず、苦戦を強いられるのでした。<br />おまけに、剣道に集中したいのに、妙なとこからトラブルの種がまいこんできて……。<br /><br /><br />この武士道シリーズ、トータルだったら本屋大賞級の面白さですね。一冊一冊じゃあ、なかなかノミネートも難しいかもしれませんが。<br />そして、こうなるとエイティーンが待ち遠しくて仕方がありません。早く読みたいエイティーン。ああ高校三年生。ぼくら離ればなれになろうとも～。<br />失礼しました。あまりに待ち切れないんで歌ってしまいました。しかしここで朗報です。エイティーンの発売は一体いつ頃になるんだろうと文春のホームページを調べていたら、とんでもないものを見つけてしまいました。<br />な、なんと。武士道エイティーン刊行を前に、武士道シリーズのサイドストーリーがｗｅｂ連載されているではありませんか。あの事件の真相が、あの人の意外な過去がここで読めちゃうのです。<br />おまけに、エイティーンのアフターまで触れられいて、一体何があったんじゃあ!!と興奮することうけあいです。読むなら今ですよ。もしかしたら、本になったら消えちゃうかもしれないし。<br /><br /><br />武士道エイティーンの特設サイトはこちら。<br /><br /><a href="http://bunshun.jp/pensee/bushido18/"target="_blank">http://bunshun.jp/pensee/bushido18/</a>。<br /><br /><br /><a name="more"></a>

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<title>武士道シックスティーン  誉田哲也</title>
<description>中学三年の全国大会、決勝で涙を飲んだ磯山香織は、更なる精進を誓い、憂さ晴らし……ではなく修行のために地元の市民大会に出場するが、三回戦で当たった無名選手に敗れてしまう。しかも真正面から、ど真ん中に面を決められ一本を取られるという、信じがたい負け方で。それから半年後、磯山は雪辱を胸に、東松学園高校女子部の門を叩いた。推薦入学を打診してきた数ある有力校の中から東松を選んだ理由は二つあった。かつて兄を倒した男、岡巧と手合わせする機会を求めて。そしてもう一つ。自分を敗ったあの無名選手...</description>
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中学三年の全国大会、決勝で涙を飲んだ磯山香織は、更なる精進を誓い、憂さ晴らし……ではなく修行のために地元の市民大会に出場するが、三回戦で当たった無名選手に敗れてしまう。しかも真正面から、ど真ん中に面を決められ一本を取られるという、信じがたい負け方で。<br />それから半年後、磯山は雪辱を胸に、東松学園高校女子部の門を叩いた。推薦入学を打診してきた数ある有力校の中から東松を選んだ理由は二つあった。かつて兄を倒した男、岡巧と手合わせする機会を求めて。そしてもう一つ。自分を敗ったあの無名選手、東松学園の甲本にリベンジするためだった。<br /><br /><br />前に、有川さんが部活小説を書いたら面白いんじゃないか。女の子の部活小説ってあんまりないし。と、どこかで書いた記憶があるのですが（確かに書いたはずなんだけど思い出せない）、これがバッチリありました。女の子の部活小説。しかも面白い。<br />父の影響で幼少の頃から剣道一筋の武蔵オタクと、剣道歴三年とまだまだ未熟だけど非凡なセンスを感じさせる普通の女の子。その性格から剣道のスタイルまで、まるっきり正反対な二人がぶつかり合いながら理解を深め、時に挫折を味わったりしながらも、切磋琢磨していく。<br /><br />私は中学校の体育の時間で剣道が一番嫌いでした。何故か毎年三学期の頭が剣道に当てられいて、ただでさえ武道場は日が入らなくて寒い上、凍えた肌に竹刀が当たって痛いこと痛いこと。なんでわざわざ冬にやるのか。<br />そりゃ夏は汗の臭いで洒落にならんかもしれんけど、もう少し穏やかな気候の時にやってくれれば。素人の中学生同士なんてどうしたって外しちゃうし、かといって力の加減も出来ないんだからさあ。いつも皆でブツブツ言いながら武道場への渡り廊下を通ったもんです。<br />でも、この本を読んでいたら、どこか神聖さを感じさせる道場の独特の雰囲気だとか、手拭いを巻いた瞬間の気が引き締まるような感覚を思い出して、懐かしくなっちゃいました。体育館と武道場は校舎の端と端にあって、剣道部の練習を見る機会なんてなかったから、そういった所も興味深かったです。<br /><br />ところでこの本、しおり紐が剣道の試合で使うたすきに準えて、紅白の二本つけられているんですよ。これまた小粋な仕立てで、一本取られたって感じです。<br /><br /><br /><a name="more"></a>

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<title>空へ向かう花  小路幸也</title>
<description>ビルの屋上から飛び降りようとした少年、ハル。向かいの建物からその姿を見つけて、とっさに彼を止めようとした少女、カホ。深すぎる傷を背負ってしまった二人の子供と、ひょんな事で彼等と出会った二人の大人。四人は古いビルの屋上に、花で満たされた庭園を作ろうとする。死んでしまった一人の少女のために。というわけで、続けて小路幸也さん。この『空へ向かう花』は現代のどこかの町を舞台にした作品ではあるのですが、どちらかといえば『キサトア』のようなファンタジーに近いかなあと感じました。不慮の事故で...</description>
<dc:subject>┣小路 幸也</dc:subject>
<dc:creator>たまねぎ</dc:creator>
<dc:date>2009-04-25T23:00:00+09:00</dc:date>
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ビルの屋上から飛び降りようとした少年、ハル。向かいの建物からその姿を見つけて、とっさに彼を止めようとした少女、カホ。<br />深すぎる傷を背負ってしまった二人の子供と、ひょんな事で彼等と出会った二人の大人。四人は古いビルの屋上に、花で満たされた庭園を作ろうとする。死んでしまった一人の少女のために。<br /><br /><br />というわけで、続けて小路幸也さん。この『空へ向かう花』は現代のどこかの町を舞台にした作品ではあるのですが、どちらかといえば『キサトア』のようなファンタジーに近いかなあと感じました。<br /><br />不慮の事故で一人の少女を死に至らしめてしまったハル。決して彼に否があった訳でもなく、悲劇としか言えないような事故。しかし少女の死という現実が否応なしに彼を追い詰めてしまう。<br />そんな少年と出会い、その命を救ったカホ。親からの虐待という辛い過去を持ちながらも、明るく微笑むその姿がハルの心に光を差し込ませる。<br />ハルとカホの出会い。これは奇跡のような偶然であり、同時に必然でもある。二人を繋ぎ会わせたものは、今は亡き少女の存在であり、最初に光を届かせてくれたのは、彼女が遺した鏡なのだから。<br /><br />ハルとカホを支える二人の大人もまた出会うべくして出会ったのかもしれない。花屋でアルバイトをする大学生のキッペイは、商店街の繋がりでカホの祖父と知り合い、彼女の庭園造りに力を貸す。<br />そして、土手で一人佇んでいたハルに声をかけたイザさん。事故の結果、家庭が壊れてしまったハルにとって、何もかもを受け止めて見守ってくれる大人が現れた事は、大きな安らぎとなっただろう。<br /><br />謎めいた雰囲気を持つイザさんは、過去になんらかの経験があるらしく、庭作りは一気に加速していく。キッペイとイザさんが居酒屋で語る場面には、少しじんときてしまった。偽善かもしれないけど、何かをしないわけにはいかないというキッペイの言葉が印象的だった。<br />ハルとカホに出会った事で、イザさんの中の止まった時計が、少しずつでも再び動き出していけばいいなあとも思う。<br /><br />互いの手をとり芝生に横たわる少年と少女。丘の上に建てられたビルの屋上からは、空へ向かう視線が遮られる事もなく、穏やかな日差しと、柔らかな月明かりが交代で、いつまでも二人を包み込む。これこそ、この世のどこかで存在していて欲しいと私は思います。<br /><br /><a name="more"></a>

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<title>平成大家族  中島京子</title>
<description>夫の経営する会社が倒産し、自己破産に追い込まれた長女一家。離婚し出戻ってきた次女。引きこもりの長男。共同経営していた歯科クリニックを自主的に定年退職し、悠々自適の隠居生活を送るはずだった緋田龍太郎。ところが家の中は一気に賑やかになり。というわけで中島京子さん『平成大家族』です。なるほど。高度成長期を経て核家族化が進んだ日本。しかし昨今の社会情況が皮肉にも再び大家族を作り出すというわけですか。これは面白い着想ですね。言われてみれば、そういう事もあるのか。大人サザエさんみたいだ。...</description>
<dc:subject>な行の作家さん</dc:subject>
<dc:creator>たまねぎ</dc:creator>
<dc:date>2009-04-24T23:00:00+09:00</dc:date>
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夫の経営する会社が倒産し、自己破産に追い込まれた長女一家。離婚し出戻ってきた次女。引きこもりの長男。共同経営していた歯科クリニックを自主的に定年退職し、悠々自適の隠居生活を送るはずだった緋田龍太郎。ところが家の中は一気に賑やかになり。<br /><br /><br />というわけで中島京子さん『平成大家族』です。なるほど。高度成長期を経て核家族化が進んだ日本。しかし昨今の社会情況が皮肉にも再び大家族を作り出すというわけですか。これは面白い着想ですね。言われてみれば、そういう事もあるのか。大人サザエさんみたいだ。<br />しかし、ポーカーに例えるならファイブカード、麻雀ならまるでメンタンピン三色ドラドラとでも言うような緋田家のこの揃いっぷり。かなり辛辣でどぎつい展開になるのかなあと思ったんですけど、これがまったくの逆で元気の出るようなお話でした。<br /><br />中島さんは何年か前から気にはなっていて、今回ようやく初読みとなったのですが、もしかしたらとても優しい人なのかもしれないと思いました。龍太郎の困惑から始る物語は、緋田家の面々の視点を順繰りに移っていくのですが、それぞれがどこか愛らしく憎めない存在になっています。<br /><br />まあ、まるで図ったかのように重なった一家の窮状はまだありそうだけど、そこから立ち直っていく様はちょっと出来過ぎかなあって気がしないでもありませんが。就農はまだしも、長男 克郎の話は「ない、ない」と苦笑しながら読んでしまいました。とはいえ、それもまた大家族ものの醍醐味でしょうか。<br />同じく大家族をテーマにした小路幸也さんの《バンドワゴンシリーズ》が、毎回家族の食卓から始まるのに対し、この作品は最後の最後、家族がまたそれぞれの道を見つけようやく顔を合わせるのですが、この辺は現代の家族像を象徴してると思いました。<br /><br /><br /><a name="more"></a>

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<title>ワンダー・ドッグ  竹内真</title>
<description>『ビールボーイズ』で思わずビールを買いに走らされた竹内真さん。『ワンダー・ドッグ』というタイトルから、今度はホットドッグだったりしてと思ったら、ドッグはドッグでも犬のドッグでした。入学式の日、一人の新入生が拾って来た子犬。ワンダーと名付けられたその犬は、紆余曲折を経てワンゲル部の一員となり、やがて学校の名物となっていきます。多くの生徒に愛され、子犬はあっという間に成犬となり、そして沢山の生徒の成長と卒業を見守っていくのです。私達はある一定の期間を経て、学校という場所から離れて...</description>
<dc:subject>た行の作家さん</dc:subject>
<dc:creator>たまねぎ</dc:creator>
<dc:date>2009-04-23T23:00:00+09:00</dc:date>
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『ビールボーイズ』で思わずビールを買いに走らされた竹内真さん。『ワンダー・ドッグ』というタイトルから、今度はホットドッグだったりしてと思ったら、ドッグはドッグでも犬のドッグでした。<br /><br />入学式の日、一人の新入生が拾って来た子犬。ワンダーと名付けられたその犬は、紆余曲折を経てワンゲル部の一員となり、やがて学校の名物となっていきます。<br />多くの生徒に愛され、子犬はあっという間に成犬となり、そして沢山の生徒の成長と卒業を見守っていくのです。<br /><br /><br />私達はある一定の期間を経て、学校という場所から離れていってしまうわけですが、いつまでもその場所で、変わらぬ眼差しをそそいでくれる存在があるというのはいいですよね。<br />この作品の場合はワンダーという犬なのですが、例えばそれが樹だったり、校舎そのものだったりでも。<br /><br />そういえば私の卒業した学校は、その年毎に植樹をしていたんだけど、あの樹はいったいどうなったんだろう。青々とした葉を繁らせて、いい日よけになっているといいなあ。<br />高台の上にあって日当たりが抜群なのはいいものの、クーラーなんて付いていないから、夏は暑くて仕方がなかったし。<br />その時のクラスメイトにちょうど山岳部の野郎がいて「汚れた食器を拭ったりするのにトイレットペーパーは実に重宝する。だから俺達にとってこれはロールペーパーだ。決してトイレットペーパーではない」と力説していたのを今でも思い出します。<br /><br />ビールに自転車にアウトドアと、竹内さんは「男の子」の夢や好きなものをテーマに描くのが特徴みたいですね。そしてそれは決して男の子だけのものでもないんだよとも言っている。<br />いかにもお涙頂戴ないい話は嫌いだけど、竹内さんの清々しい風の様な物語はいいですね。またもや青春って素晴らしいなあとホロリとさせられてしまいましたよ。<br />源太郎と由貴。ワンダーが結んだ二人のその後も気になるところ。一つの物語として完結してるし、ワンダーの最後なんて見たくないから続編はいらないけど、ちょっとしたカメオ出演とかでまた会いたいなあと思いました。<br /><br /><br /><br /><br />そういやあ、うちの学校の山岳部の顧問もひげもじゃだったっけ。<a name="more"></a>

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<title>赤めだか  立川談春</title>
<description>今日はいつもとちょっと趣向が変わってエッセイというか自伝というか、落語家の立川談春さんが前座時代の出来事を書いた『赤めだか』です。昨年からかなり話題になっていた本ですが、これが本当に面白い。作中で高田文夫が「お前等売れたら談志師匠のエピソードで本出せるぞ。(中略)談志師匠っていう最高の根多」があるんだからよ」と言っているように、立川談志という人の存在感が際だっているのもさることながら、さすが落語家だけあって語り口が絶妙です。とんとんとんと軽妙で、しかし調子に乗って上擦りする事...</description>
<dc:subject>た行の作家さん</dc:subject>
<dc:creator>たまねぎ</dc:creator>
<dc:date>2009-04-22T23:00:00+09:00</dc:date>
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今日はいつもとちょっと趣向が変わってエッセイというか自伝というか、落語家の立川談春さんが前座時代の出来事を書いた『赤めだか』です。<br /><br />昨年からかなり話題になっていた本ですが、これが本当に面白い。作中で高田文夫が「お前等売れたら談志師匠のエピソードで本出せるぞ。(中略)談志師匠っていう最高の根多」があるんだからよ」と言っているように、立川談志という人の存在感が際だっているのもさることながら、さすが落語家だけあって語り口が絶妙です。<br />とんとんとんと軽妙で、しかし調子に乗って上擦りする事は決してない。自分自身を俯瞰で眺める距離が近くもなければ遠くもない。それこそ噺に出てくる登場人物を語るかの様。<br /><br />落語を聞き始めてかれこれ１年ほどになるのですが、談春さんはまだ聞いたことがないんですよね。これを読んだら無性に聞きたくなりました。特に俺より上手いと師匠が認めた『包丁』をまず聞いてみたい。<br />ちなみに談志さんの落語はＤＶＤで何回か観ました。『文七元結』と『堀の内』とあとなんだったかな、『粗忽長屋』だっけか。<br /><br />最初に落語家を志した時に志ん朝と談志のどちらかだと思ったとあって、両者の落語の差について軽く触れているのですが、確かに談志の落語って聞く時に力が入るんですよね。<br />志ん朝さんもいくつか聞いたけど、志ん朝さんが滑らかで愉快で自然と耳が離れなくなるのに対し、談志さんの場合はいつ何が飛び出すかわからないような緊迫感があって、一語一句を逃せない。<br />ＣＤとＤＶＤの違いってのがあるのかもしれないけど、談志さんの時には思わず正座をして身構えてしまったくらいです。<br /><br />談志という人は歯に衣着せぬ物言いでハチャメチャなイメージが強いんだけど、この本を読んでいると実は意外と真っ当な人で、ものすごい照れ屋なんじゃないかって印象をうけました。<br />談志を心から慕う弟子の目から見ているからかもしれません。最後に弟弟子達に対して、談志はいつまでもいるわけじゃないと苦言を呈してもいるけれど、できるだけ長く憎まれ口を叩き続けてほしいものです。こんな世の中なだけに。<br /><br /><br /><a name="more"></a>

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<title>ことば汁  小池昌代</title>
<description>小池さんは『タダト』に続いて二冊目。もともとは詩を書いていらっしゃったというのは、その時の著者紹介で知っていましたが、この本はより、詩人 小池昌代が感じられた一冊でした。思わず口ずさんでみたくなるような擬音。登場人物達が思わずもらす言葉。句点の一つ一つが感じさせる彼女達の息遣い。選んで、磨かれ、並べられたそれらが、すっと流れてきたと思ったら、いきなりこちらの頭を掻き回します。『女房』『つの』『すずめ』『花火』『野うさぎ』『リボン』と六つの話を収録。『女房』以外の五編は、盛りを...</description>
<dc:subject>か行の作家さん</dc:subject>
<dc:creator>たまねぎ</dc:creator>
<dc:date>2009-04-21T23:00:00+09:00</dc:date>
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小池さんは『タダト』に続いて二冊目。もともとは詩を書いていらっしゃったというのは、その時の著者紹介で知っていましたが、この本はより、詩人 小池昌代が感じられた一冊でした。<br />思わず口ずさんでみたくなるような擬音。登場人物達が思わずもらす言葉。句点の一つ一つが感じさせる彼女達の息遣い。選んで、磨かれ、並べられたそれらが、すっと流れてきたと思ったら、いきなりこちらの頭を掻き回します。<br /><br />『女房』『つの』『すずめ』『花火』『野うさぎ』『リボン』と六つの話を収録。『女房』以外の五編は、盛りを過ぎた女性を主人公とした話で、幻想的でありながら、孤独や嫉妬といった感情が蠢いおり、魔法使いの老婆がかき混ぜる怪しげな壺を彷彿とさせました。『ことば汁』というタイトルは「鍋の中の言葉のごった煮という」イメージから名付けられたそうです。(<a href="http://book.asahi.com/author/TKY200810220131.html"target="_blank">asahi.comより</a>)<br />私はこの本を読みながら、「ことば」というのは溢れ出てくるものなのだと感じました。人の内側にはなんとも大量の「ことば」が、それこそ無限の如くに渦巻いていて、口にされるのはその中から掬い上げられた、ほんの一部の上澄みにすぎないんだなあと。<br />絶句、二の句が継げないという言葉があるように、何も言えなくなる事は確かにあるけれど、それは大半が声に出せないだけで、内側では様々な感情が「ことば」となり入り乱れていて、みんなが我先にと出口に押し寄せるものだから、一時的に詰まってしまうって事なんですよね。<br /><br /><br /><a name="more"></a>

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<title>悼む人  天童荒太</title>
<description>新聞等で得た情報をもとに、事故や事件で人が亡くなった現場を訪れては、「悼み」を繰り返す主人公、坂築静人。彼と彼の家族、そして彼と出会った事で救われた人々の姿を描いた直木賞受賞作『悼む人』です。さて、内容が内容だけに批判的なことは書きにくいのですが、やはりこの作品は私にはダメでした。直木賞候補紹介のあらすじを読んだ時点で、宗教じみた感じが好きになれそうにないなあと思っていたのですが。そういった意味では、読む前から先入観を持っていた事も影響しているとは思います。ただ、当初懸念して...</description>
<dc:subject>た行の作家さん</dc:subject>
<dc:creator>たまねぎ</dc:creator>
<dc:date>2009-04-20T23:00:00+09:00</dc:date>
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新聞等で得た情報をもとに、事故や事件で人が亡くなった現場を訪れては、「悼み」を繰り返す主人公、坂築静人。彼と彼の家族、そして彼と出会った事で救われた人々の姿を描いた直木賞受賞作『悼む人』です。<br /><br /><br /><br /><br />さて、内容が内容だけに批判的なことは書きにくいのですが、やはりこの作品は私にはダメでした。直木賞候補紹介のあらすじを読んだ時点で、宗教じみた感じが好きになれそうにないなあと思っていたのですが。<br />そういった意味では、読む前から先入観を持っていた事も影響しているとは思います。ただ、当初懸念していたほど宗教色を感じなかったし、それよりも不満だったのは、私がこの作品において一番大事だと思う所が、まるごと抜け落ちていた事なんです。<br /><br />先に細かい点を挙げさせていただくと、いくら悼みの旅を始めて数年の時が経っているとはいえ、静人が説明を求める人間に対し「病気みたいなものなんです」と完全に開き直ってしまっている点や、彼と深く関わろうとした人が皆彼に好意的な視線を向ける様になるのも腑に落ちませんでした。<br /><br />しかし何よりも納得がいかないのが、ラストの静人と母 巡子の場面です。末期癌におかされ余命わずかと宣告された静人の母は、投薬治療を打ちきり、自宅で最後を迎える事を選択しました。息子がまた家に戻ってくる事を期待しつつ、しかし敢えて連絡をとろうとはせず。そして家族はそんな彼女の意を汲み、悲しみを堪えながら介護を続けます。<br />最大の理解者であり、自分を支え続けてくれた人々の苦境に、何もする事ができなかった。その事実を前に、静人は己をどう省みるのか。それは一つの重要なポイントになるだろうと思い、私は読み進めていきました。ところが結局、彼が母の死に目に立ち会えたのかは読者に委ねるような形で描かれ、その死は感動の場面に仕立てられていたのです。<br />正直、いくらなんでもそれは安易すぎるのではないかという気がしてなりません。自らの死期を前に、恐れと戦いながら、悔いのない最後を迎えようとする巡子の姿は自然と読む者の胸を打ちますし、それを見守る家族の苦しみは、それぞれが自分の未来や過去と重ね、様々な事を考えさせられるものとなるでしょう。とはいえ、それが最後にまるで静人の行動を肯定し、有無をいわせない感動の演出へと繋がっているのは如何なものかと思ったのです。<br /><br /><br />私はやはり死者を悼む、死んだ者の事を思い続けるは、生前その人物と何らかの係わりがあったものがすべきことだと思います。誰にも看取られる事なく死んでいく人が増えている中、現実には難しい時もあるかもしれません。<br />しかし静人は悼む際、死者が生前、どんな人に愛されどんな事で感謝されたかを思い、些細な繋がりからでもそれを見出だそうとします。ならば、その些細な繋がりであれ、また間接的なものでも、死者と係わりを持った者が、記憶の片隅に死者の存在を留めていくものなのではないかと。<br />そして静人のような人が世界のどこかにいてほしいと願うのは、本来それぞれが分け合って背負うべき荷物を誰かに委ねて、見て見ぬ振りをしてしまう事のようにも感じます。ただそれはあくまでも私が今「生」の側に立っているからなのでしょうが。<br /><br /><br />ところで、読んでいてどうしても分からなかった事が一つ。後半、冥福は祈らないと語っていた静人が、唯一冥福を祈っている場面があるのです。たしかホテル火災の被害者に対して、現場には立ち入ることが出来ずに、ホテル横から冥福を祈っていたと記述されていたはずです。<br />これは、あくまで随行者である女性の視点から描かれた場面だからの「祈る」なのか、それとも彼女と旅をともにしたことで生じた静人の揺らぎの現れなのか。これだけはいくら読んでも分からず仕舞いでした。<br /><br /><br /><a name="more"></a>

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<item rdf:about="http://tamanegi.seesaa.net/article/118284702.html">
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<title>暴雪圏  佐々木譲</title>
<description>暴力団組長の屋敷を襲った強盗。出会い系で知り合った不倫相手との関係を清算しようとした主婦。会社の金を持ち出した男。義父の虐待に耐え兼ね家を飛び出した少女。北海道東部を襲った超大型爆弾低気圧が、彼等を奇しくも一箇所へと集めていく。まるで防雪柵の切れ目から流れ込んだ風が、路上に雪の吹き溜まりを作るかのように。</description>
<dc:subject>┣佐々木 譲</dc:subject>
<dc:creator>たまねぎ</dc:creator>
<dc:date>2009-04-19T23:00:00+09:00</dc:date>
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暴力団組長の屋敷を襲った強盗。出会い系で知り合った不倫相手との関係を清算しようとした主婦。会社の金を持ち出した男。義父の虐待に耐え兼ね家を飛び出した少女。<br />北海道東部を襲った超大型爆弾低気圧が、彼等を奇しくも一箇所へと集めていく。まるで防雪柵の切れ目から流れ込んだ風が、路上に雪の吹き溜まりを作るかのように。<br /><br /><br /><a name="more"></a>二冊目は『暴雪圏』。腐敗防止を旨とした人事により、不慣れな駐在所勤務へと異動となった川久保巡査部長を主人公とした『制服捜査』の続編です。<br />先に読んだ『警官の紋章』と同様、道警の不祥事を出発点としたシリーズなのですが、両者の差異、視線の違いがより色濃く出てきたと思います。<br />警察内部を見つめたＤＣＡと異なり、こちらは川久保という男の目を通して見た、地域の物語となっている。前作からその傾向は見られたのですが、今回はそれがより顕著に現れているのです。<br /><br />自然の猛威を前に川久保は手も足も出せず、殺人犯と市民が一夜を越すペンションで何が起きているのかを知る事ができるのは、当事者達と、そして読者のみ。そういった点から見れば、警察小説というよりも、群像小説と言った方がよいのかもしれません。<br />そして、地方都市の窮状や閉塞感などは前作ほど触れられていなく、北海道ならではの気象状況が物語を成立させているあたり、これは土地が書かせた物語であるのかもと感じました。<br /><br /><br />そうそう、ラストで川久保が見せた眼差しに、ふと『ミスティック・リバー』を思い出したり。そう言えばイーストウッドの新作が封切りされましたね。今度こそ見に行かなくては。<br /><br />

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<title>警官の紋章  佐々木譲</title>
<description>洞爺湖サミットまであと三ヵ月。警備計画が本格的に始動した北海道警内では、サミット特別シフトが敷かれ、各署内の空気も殺気立っていた。一週間後には警備結団式も控えている。サミット特命大臣をはじめ、警視総監、警察庁長官、国家公安委員長といったお歴々が式には出席する。まさにサミット警備のための試金石とも言えた。ところが、そんな状況下で勤務中の巡査が行方不明になってしまう。上層部はあわてふためいた。巡査は拳銃を携帯していた。しかも同じく警官であった巡査の父は、あの「郡司事件」の公判で証...</description>
<dc:subject>┣佐々木 譲</dc:subject>
<dc:creator>たまねぎ</dc:creator>
<dc:date>2009-04-18T23:00:00+09:00</dc:date>
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洞爺湖サミットまであと三ヵ月。警備計画が本格的に始動した北海道警内では、サミット特別シフトが敷かれ、各署内の空気も殺気立っていた。<br />一週間後には警備結団式も控えている。サミット特命大臣をはじめ、警視総監、警察庁長官、国家公安委員長といったお歴々が式には出席する。まさにサミット警備のための試金石とも言えた。<br /><br />ところが、そんな状況下で勤務中の巡査が行方不明になってしまう。上層部はあわてふためいた。巡査は拳銃を携帯していた。<br />しかも同じく警官であった巡査の父は、あの「郡司事件」の公判で証人として召喚される予定だったが、公判前日に謎の自殺を遂げていたのだ。<br /><br /><a name="more"></a>津村さんの次は佐々木譲さんで二連発。まずはＤＣＡシリーズ最終作『警官の紋章』です。<br />佐伯、小島、津久井が三度の活躍を見せる今作ですが、個々が己の領分においてその実力を遺憾無く発揮し、結果として全体の利益に繋がるという、真のチームワークの姿を見せられました。<br />失踪した巡査を追う津久井。大臣警護の応援をする事となった小島。そして『笑う警官』の時に他部署からの横槍で消化不良に終わった事件を、俺の事件であると再び調べる佐伯。<br />チームとして一つの事に当たるのではなく、それぞれが自分の役割を果たすべく行動します。しかし決してバラバラではない。なぜならば各々が警官としての矜持を、警官の紋章を胸に持っているから。<br />桜の代紋。ある種の権力の象徴として使われてきた言葉ですが、その威光の強すぎるあまり、腐敗へと繋がってしまった。強い光が頭上から照らせば陰も濃くなります。<br />しかし、それぞれが警官の紋章を胸に秘めていれば。内側から照らす光りで浮かび上がるのは、外の陰となる。シリーズを通して投げ掛けられた問いの答えを、このタイトルに見たように思います。<br /><br />そしてバラバラだった線が結団式の日に一つに交差する瞬間の盛り上がりはもちろん、シリーズを通じて張られた伏線の収束にも驚きが。そこに繋がっていたかと。<br />ラストの意外な人物の活躍も良かった。彼もまた警官だったと。野暮な野郎だけど（笑）。<br /><br /><br />

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<title>ポトスライムの舟  津村記久子</title>
<description>ツムラさん３連星。最後は芥川賞受賞作『ポトスライムの舟』です。上司の惨いパワハラを受け退職したナガセ。精神的に不安定な状態から回復した現在は、化粧品工場で検査業務の仕事をしていました。そして、何かをしていないと、働いていないと心が落ち着かず、その他にも友人のヨシカが経営しているカフェのバイト、データ入力の内職を掛け持ちし、週末にはお年寄り相手のパソコン教室の講師まで。ある日、彼女は工場の休憩室で見たポスターに書かれた世界一周旅行の金額、一六三万円が自分のこの工場での一年間の手...</description>
<dc:subject>┗津村 記久子</dc:subject>
<dc:creator>たまねぎ</dc:creator>
<dc:date>2009-04-17T23:00:00+09:00</dc:date>
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ツムラさん３連星。最後は芥川賞受賞作『ポトスライムの舟』です。上司の惨いパワハラを受け退職したナガセ。精神的に不安定な状態から回復した現在は、化粧品工場で検査業務の仕事をしていました。そして、何かをしていないと、働いていないと心が落ち着かず、その他にも友人のヨシカが経営しているカフェのバイト、データ入力の内職を掛け持ちし、週末にはお年寄り相手のパソコン教室の講師まで。<br />ある日、彼女は工場の休憩室で見たポスターに書かれた世界一周旅行の金額、一六三万円が自分のこの工場での一年間の手取りとほぼ同額だと気がつき、一年間工場以外の収入で生活してみようと思い立つのでした。<br /><br /><br />ナガセの物語というよりは、彼女を含めた女性達の物語と感じながら読みました。しかし、津村さんらしいとは思いながらも、なんだか少し物足りない。読後からかなり時間が経ってしまったんだけど、この作品よりも併録されていた『十二月の窓辺』の方が印象に残ってます。直接的な明記はされていないけど、これがナガセの過去の物語だとしたら、あまりにもやるせない。<br /><br /><br /><a name="more"></a>

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